勤労学生控除とは? 税金、親の扶養、申請方法など。バイト学生向け

近年の税制改正により、2026年からは所得税の非課税ラインが「178万円の壁」へと大きく引き上げられました。このように非課税枠が広がっても、学生アルバイトが活用できる「勤労学生控除」の制度はそのまま残っています。
では、学生なら誰でも控除を利用してギリギリまで稼いだほうが有利になるのでしょうか。今回は、学生アルバイトの人向けに、新制度における勤労学生控除の概要と、メリット・デメリットについて解説します。
- 以前の103万円の壁は実質はなくなったので勤労学生控除の利用メリットは拡大
- 会社員や公務員家庭の扶養の学生は、扶養を外れる130万円の壁の方が大事
- 自衛家庭などの学生で18〜22歳なら、勤労学生控除の利用を検討するのも良いことがわかります
勤労学生控除とは
勤労学生控除とは、アルバイトなど勤労をしている学生を対象に、所得税と住民税の非課税額を拡大する制度です。国税庁のウェブサイトには、「納税者自身が勤労学生であるときは、一定の金額の所得控除を受けることができます。これを勤労学生控除といいます」と記されています。
通常、所得税が非課税となるのは年収178万円以下、住民税は年間118〜119万円以下(自治体によって異なる、以下同様)までです。
所得税の控除額は、勤労学生控除の年収163万円以下ですが、勤労学生控除を受けなくても最大178万円までは非課税となります。
住民税は2種類ありますが、勤労学生控除の対象は、収入によって税額が変わる所得割です。
勤労学生控除では、年収143万円以下になります。勤労学生控除を使わないと年収118〜119万円以下までなので、勤労学生控除を使った方が、税金を押さえることができます。
【所得税】非課税枠と勤労学生控除の関係
| 2025年 | 2026年 | |
|---|---|---|
| 所得税の年間控除額 | 160万円以下 | 178万円以下 |
| 勤労学生控除の場合 | 150万円以下 | 163万円以下 |
【住民税の所得割】の非課税枠と勤労学生控除の関係
| 2025年 | 2026年 | |
|---|---|---|
| 住民税 所得割の年間控除額 | 110万円以下 | 118〜119万円以下 自治体で異なる |
| 勤労学生控除の場合 | 134万円以下 | 143万円以下 |
住民税には、税額が固定の均等割というのもあります。こちらは自治体ごとに税額や年収条件が変わりますが、概ね年間5,000円で、年収112〜119万円を超えると(所得割では勤労学生控除を受ける人でも)課税されます。
ただし、住民税は、1月1日時点で18歳未満の未成年は、学生に限らず年間約204万円以下は非課税です。
結局、バイト代は、いくらまで稼ぐのがいい? 自分の手取りと親の税金
以前は「103万円の壁」を超えると親などが受ける扶養控除が受けられなかったり、バイト代に所得税がかかり始めるなど、手取りが減る年収のラインと言われていましたが、税制の改正により、年収の壁が引き上げられました。
2026年は、家族構成などの事情によりますが、親などの扶養者の税金や健康保険料の負担を抑えやすい目安のバイト代は次のようになります。年間118〜119万円より稼ぐなら、住民税所得割の控除のため、勤労学生控除を受けた方が手取りが残りやすくなります。
- 会社員や公務員家庭などの場合は、バイト代は、年間130万円未満
- 自営業などの家庭は、高校1年生で早生まれの人は、年間117万円以下
- 自営業などの家庭は、16〜18歳のバイト代は、年間136万円以下
- 自営業などの家庭は、19歳〜22歳のバイト代は、年間159万以下
☝️年齢は、その年の12月31日時点の満年齢
会社員や公務員家庭などの場合
親などが会社員や公務員の場合、子どもである学生は、親の社会保険の扶養に入っているケースが多いです。その場合、学生本人のバイト代が年間130万円を超えると、親の社会保険の扶養を外れ、自ら国民健康保険などに加入し、保険料を納める必要があります。保険料は自治体によって異なりますが、年間6万円〜(収入額によって増える)となります。
年齢は関係ないため、年間のバイト代は130万円未満に押さえた方が、働いた分の収入は、手元に残りやすいでしょう。詳しい条件は、親などが加入している健康保険組合などに確認するのが安心です。
自営業などの家庭の場合
国民健康保険に加入しているケースでは、会社員より保険料の増加が緩やかです。ただし、学生本人の年収が117万円を超えると、国保の所得割(収入に応じた保険料)が加算され始めます(2026年収入の場合)。
そのうえで、学生本人の年齢によって、親などの扶養者の税負担を軽減できる選択肢があります。
16歳から18歳以下、あるいは、23歳以上で大学や大学院生などの学生の場合は、年間136万円以下にバイト代を押さえることで、親などの扶養者の税負担を軽減することができます(一般扶養控除)。この一般扶養控除は、1円でも条件額を超えると適用を受けられないので注意が必要です。
19歳から22歳の場合は、年間159万円以下にバイト代を押さえることと、特定扶養控除または特定親族特別控除を満額で親などの扶養者が受けることができます。こちらは上限の年収を超えると、徐々に扶養者が受けられる控除額が減っていきますが、一般扶養控除のように、いきなりゼロにはなりません。
なお、高校1年生など中学を卒業した早生まれの人は(その年は15歳)は、一般扶養控除の適用は、その年はないため、保険料の所得割が加算され始める年収117万円を目安にすると良いでしょう。
年齢は、その年の12月31日時点の年齢で考えるため、早生まれの人は間違えないようにしましょう。
勤労学生控除を受ける条件
勤労学生とは「学業に専念しながら働いて収入を得ている学生」のことで、勤労学生として勤労学生控除を受けるには、以下の3つの要件を満たす必要があります。
- 給与所得などの勤労による所得があること
- 合計所得金額が89万円以下、かつ給与以外の所得が10万円以下であること
- 特定の学校の学生、生徒であること
①給与所得などの勤労による所得があること
給与所得とは、「働いて得たバイト代などの給与」から「給与所得控除など非課税対象」を引いた分を指します。
定期的に働くアルバイトだけでなく、短期のアルバイトでも、働いて給与としてバイト代を得れば条件に当てはまります。親などの保護者からの仕送り・奨学金など、働いた対価以外のお金は給与に当たらないので、勤労学生控除の対象条件として考慮する必要はありません。
②合計所得金額が89万円以下、かつ給与以外の所得が10万円以下であること
これが紹介した「所得税なら年163万以下、住民税所得割なら年143万円以下に押さえましょう」の詳しい条件です。
年間の収入が、アルバイト代など給与収入のみの場合は、上記が条件となります。バイト代以外に、出来高制などの報酬がある人は、報酬額から経費を引いた残り(所得)が10万円以下なら問題ありません。
報酬の所得が10万円を超える人は、報酬所得とバイト代の合計が年間163万円以下である必要があります。
▼バイトなど給与収入のみ
バイトなど給与の年間収入≦163万円
▼バイトなど給与収入+報酬収入
成果報酬による年間収入―経費≦10万円…①
バイトなどの給与収入+①≦163万
株の売買や配当(*)、アンケートモニター、データ入力、ウーバーなどの宅配サービス、YouTubeの再生といった報酬収入が該当します。報酬の条件は、経費を引いた所得額が10万円以下である必要があります。
(*)株式等の譲渡による所得や配当所得については、源泉分離課税の適用を受けることで確定申告をしないことを選択したものについては、ここでは対象外です。
③特定の学校の学生、生徒であること
以下に挙げる学校のうち、どれかに通っている必要があります。
ロ. 国、地方公共団体、学校法人等により設置された専修学校または各種学校のうち一定の課程を履修させるもの
ハ. 職業能力開発促進法の規定による認定職業訓練を行う職業訓練法人で一定の課程を履修させるもの
高校や大学に通っている人はもちろん、専修学校に通っている人や職業訓練を受けている人でも、控除の対象になり得ます。自分の通っている学校が条件を満たしているかわからない場合は、学校の窓口に問い合わせてみましょう。
勤労学生控除の申請方法
勤労学生控除の申請は、一般的にはアルバイト先の年末調整で行います。アルバイト先から「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」をもらい、必要事項を記入して提出します。
アルバイトを掛け持ちしている場合は、年明けに自分で確定申告をすることで申請をします。
年末調整で申告する

アルバイト先に、まずは「勤労学生控除を受けたい」という旨を告げましょう。年末調整の際には、「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」の「障害者、寡婦、ひとり親又は勤労学生」の欄にある勤労学生の項目に印をつけて、学校名・入学年月日、所得の種類とその年の所得の見積額を記載します。アルバイト年収は給与所得となり、年収から給与所得控除74万円を差し引いた金額なので、年収が150万円であれば所得は76万円になります。
また、令和2年分からは、「給与所得者の基礎控除申告書兼給与所得者の配偶者控除等申告書兼所得金額調整控除申告書」の基礎控除申告書の欄に「合計所得」等を記載して、「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」と一緒に提出する必要があります。年末前に辞めたバイトがある人は、退職先から源泉徴収票を年末までに取り寄せられれば年末調整にのせることができます。間に合わなければ、いったん年末調整をメインのバイト先で行い、年明けに確定申告も行います。
確定申告で申告する

アルバイトを同時に掛け持ちしている人は、複数の会社から受け取っている給与をまとめて自分で記録し、確定申告を行う必要があります。年末前に辞めたバイトの分も合計して申告します。
確定申告書類は、第一表と第二表に「勤労学生控除」に関する事項を記載して税務署に提出しましょう。専修学校、各種学校、職業訓練学校に通う人は、在学証明書などの証明書を一緒に提出するか、提示する必要があります。また、時期は毎年2月中旬~3月中旬となっているため、期間内に済ませるよう気をつけてください。
>学生で確定申告が必要なケースとは。バイト掛け持ちや報酬の場合はどうなる?
申請には在学証明書が必要な場合がある
勤労学生控除を申請するにあたって、学生であることを証明する書類(在学証明書や学生証のコピーなど)の提出を求められる場合があります。勤労学生控除の対象者のうち、専修学校、各種学校、職業訓練学校の生徒等の場合には、在籍する学校から必要な証明書の交付を受けて、申告書に添付するか提出する必要があります。
メリット・デメリットを理解して利用を決めるのが大事
勤労学生控除を受けると、学生本人の住民税が減額されるといったメリットはありますが、親などの社会保険上の扶養に入っている学生は、バイト代を130万円以下にしておく方が結果的に家族全体の手取り額は増えるケースが多いので、年収130万円を超えて働くかどうかは、家庭の状況を確認してから決めるのが大切です。
司法書士事務所V-Spirits 代表司法書士。大学卒業後、大手食品メーカーや外資系専門商社に在職中に税理士、司法書士、社会保険労務士の資格を取得。2012年独立し、司法書士事務所開設。
https://www.pright-si.com/
※更新履歴:
2017年6月30日
2025年9月30日
2026年7月31日
※文中の社名・所属等は、取材時または更新時のものです。